【ドクターズコラム】喘息を発症するアレルギーや、体質の考え方

【ドクターズコラム】喘息を発症するアレルギーや、体質の考え方

アトピー型の気管支喘息やアレルギー性鼻炎の原因となる代表的な吸入アレルゲンはダニアレルゲンです。ここでは、ダニアレルゲンを吸入することによりアレルギーの体質を獲得する「感作」や喘息を発症する「アレルギー」の考え方についてお話しします。

住居内においてダニの主要な繁殖場所は、寝具(ふとん、マットレス、ベッドなど)、カーペット(じゅうたん)、畳などが挙げられます。空気中を浮遊するダニアレルゲンは自然落下し寝具に付着し、あるいは寝具内でダニが増殖し、人は一日の中でも一定の時間を寝室で過ごすことから、ダニアレルゲンは寝室が一番多いと考えられています。ダニアレルゲンの定量法はいろいろありますが、コナヒョウヒダニ由来とヤケヒョウヒダニ由来のアレルゲン(蛋白)を合計したものが世界的な基準として用いられます。一般的には掃除機かけを行い、その中のダスト(塵)1g中のダニアレルゲン量を㎍で表し、ダニアレルゲン量は ㎍ / g dustという単位で表します。また単位面積当たりのダニの虫体数を数えて 匹 / m2と表すこともあります。

どうやってアレルギー体質となり、アトピー型の喘息を発症するのでしょうか?

アレルギー体質が全くない方がいきなりアトピー型の喘息を発症するわけではありません。喘息の発症には遺伝素因や環境素因が複雑に関係しアレルギーが発症すると考えられていますが十分には解明されてはいません。両親、特に母親がアレルギー体質である場合、子供は胎内にいるときからその影響を受けると考えられています。そして生まれてから食物アレルゲンや吸入アレルゲンの影響を受けてアレルギーを発症すると考えられています。一方で両親や親族にアレルギー体質の方がいなくても、小児、あるいは成人になってからアレルギーを発症することがあります。

アレルギーを発症するにはまずアレルギー体質を獲得し、これを「感作」といいますが、その後で高濃度のダニアレルゲンに曝露することにより喘息症状が出現するという過程が必要です。「感作」とは少量のアレルゲンを繰り返し吸入し、アレルギーの体質を獲得することをいいますが、その基準は吸入するダニアレルゲン量が2 ㎍ / g dustと言われています。また一度、感作され、高濃度のダニアレルゲンに曝露すると喘息を発症すると考えられておりますが、その基準はダニアレルゲン量が10 ㎍ / g dustと言われています1)

ダニアレルゲン量を減らす目安とは

例えば、10 ㎍ / g dustは生ダニ100匹に相当するといわれていますが、ふとん掃除機によるダニ駆除で100匹 / m2以下2)になると、また㎍ / g dustで定量されるダニアレルゲン量が1/10以下3)に減少すると喘息症状が改善するといわれています。さらに厚生労働省の「快適で健康的な住宅に関するガイドライン」では布団 1,000 ng / m2以下に管理することを推奨しています。

このようにダニアレルゲン量については感作、発症、管理に適した値などが数値化されていますので、寝具などの環境中にダニアレルゲンが多い場合には、どの程度までダニアレルゲンを減少させれば喘息症状が改善するかについての目安があるため、それを目標として環境整備を行うことが推奨されています。

 

*参考文献 1・Sporik R, Holgate ST, Platts-Mills TA,et al: Exposure to house-dust mite allergen (Der p I) and the development of asthma in childhood. A prospective study. N Engl J Med. 1990;323:502-72・宮本昭正・監修。臨床アレルギー学。原因の回避、除去南江堂 東京 2007 p200-2063・Platts-Mills TA, Thomas WR, Aalberse RC, Vervloet D, Champman MD. Dust mite allergens and asthma: Report of a second international workshop. J Allergy Clin Immunol 1992, 89:1046–1060.

ドクター
国立病院機構埼玉病院呼吸器内科
釣木澤 尚実 先生

医学博士
長崎大学医学部卒業
横浜市立大学医学部大学院卒業
現国立病院機構埼玉病院 呼吸器内科
専門;アレルギー・呼吸器病学

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※1 (一財)日本食品分析センター調べ 第15110672001-0201 平成27年12月10日 ※2 (一財)北里環境科学センター調べ 北環発2016_0035号 平成28年11月15日※3 ITEA株式会社 東京環境アレルギー研究所調べ 15M-RPTJUL0221 平成27年8月28日
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