【ドクターズコラム】風邪をひいたら小児科?耳鼻科?

【ドクターズコラム】風邪をひいたら小児科?耳鼻科?

子どもが風邪をひいたらどこを受診すれば良いのでしょうか?迷われることがよくあると思います。実際、私たちのクリニックにもそういう方が受診されます。一般的な傾向としては、熱の有無で判断されることが多いようです。鼻の症状だけど、熱があるときは小児科、熱がなければ耳鼻科って感じです。

私たちのクリニックは「小児科・耳鼻科」で、それぞれの科をそれぞれの専門医が診察しているので、患者さんが迷ってもとりあえず来院していただければ適切な診療を提供できますが、一般的な小児科や耳鼻科ではそういう訳にはいかないです。

ではどういった時にこの二つの科を使い分ければいいのでしょうか?

鼻水だけのときは?喉が痛いときは?咳が出るときは?耳が痛いときは?

小児科医は子どもの頭のてっぺんからつま先まで全てを診ます。いわゆる風邪から、目やに、頭痛、湿疹、膝が痛い、泌尿器系の症状、できものができたなどなど。これが大人であれば、内科、眼科、神経内科、皮膚科、整形外科、泌尿器科、婦人科、外科となるかもしれません。また、年齢も小児科は基本的には中学生までですが、継続的に診ている患者さんならそれ以上でも診ることがあります。ちょっと特殊にはなりますが、私は小児科医ですが、重症心身障害者の方で70歳以上の方を診ていたことがあります。

では、小児科と耳鼻科との違いはどこでしょうか?

小児科は耳や鼻も診ます。なので、中耳炎や鼻炎の診断、内科的な治療はできます。でも、できないこともあって中耳に溜まった液体を抜く、いわゆる外科的処置です。つまり、小児科は「小児内科」なので外科的な処置(切ったり、縫ったり)はあまり得意ではありません。特に鼓膜の処置となると、耳鼻科で使われている顕微鏡なども要りますし、小児科では少々難しいこともあります。

一方、耳鼻科が得意とする分野は?耳鼻科を受診された際に気づかれたと思いますが、耳鼻科には耳鼻科ユニットと呼ばれる大きな装置があります。まるで歯科のようなイスがあって(実は、耳鼻科のイスと歯科のイスは同じメーカーが作っていたりします!)、その横には大きな装置があって、ライトや顕微鏡がぶら下がっています。これらは耳鼻科の診察の際に使われるもので、吸引や局所麻酔のスプレーなどがセットされています。

つまり耳鼻科はこれらの機器を使って、より専門的な診断・治療や外科的処置をするのが得意なんです。めまいや難聴の診断なども特殊な機器が必要となるので、小児科では難しいこともあります。めまいや難聴は子どもには少ない疾患ですが。

子どもが風邪をひいたら、どちらを受診すれば良いのでしょうか?

まずは小児科でいいと思います。もし、そこで耳鼻科的な加療が必要と判断されれば、耳鼻科を紹介してくれることでしょう。

「小児科医は子どもたちの総合医」と日本小児科学会が打ち出しています。子どものすべての疾患の入り口は小児科でいいのかもしれません。ちなみに一般的に、子ども、特にまだ小さな乳幼児を得意とする耳鼻科医は少ないと思います。なぜなら、乳幼児の耳、鼻は小さくて少し動くともう見えなくなってしまうし、そもそも鼻や耳を診られるのを嫌がって暴れる子どもを診るのは、なかなか大変です。

その点、小児科医は暴れる子どもをなだめすかして、時には押さえつけて診察することに慣れています。もちろん、押さえつけるのを推奨しているのではなく、安全に診察するには止むを得ないことなのです。

ひとりで悩まないで専門医に聞いてみよう

風邪で小児科を受診する際に、ちょっと気になっていた色々なことを聞いてもいいかもしれません。

あなたのかかりつけの素晴らしい小児科の先生なら、どんなに混み合っていても、きっと優しく教えてくれあなたの不安を取り除いてくれるはずです。

※コラム内の院内画像は実際のくろだ小児科・耳鼻科の画像となります。

くろだ小児科・耳鼻科 黒田 格院長
山梨県甲斐市西八幡1939-2

□くろだ小児科・耳鼻科□
http://www.kuroda-ped-ent.com/

小児科専門医、日本禁煙学会認定指導者、医学博士

山梨大学医学部小児科を始め、山梨県立中央病院、国立甲府病院等で小児血液・腫瘍を専門として、新生児医療や重症心身障害者の診療などにも従事してきたが、これまでの経験と知識を生かすべく、2017年4月に山梨県甲斐市に耳鼻科医の妻と「くろだ小児科・耳鼻科」を開院。また、NPO法人甲斐スポーツ振興会を立ち上げ、スポーツに医学のメスを入れるべく活動中。

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