【ドクターズコラム】アレルギー性鼻炎と蓄膿症の違いとは

【ドクターズコラム】アレルギー性鼻炎と蓄膿症の違いとは

今や国民の5人に1人はアレルギー性鼻炎に罹患!

国民の5人に1人はアレルギー性鼻炎に罹患しているとも言われています。

通年性のアレルギー性鼻炎および季節性のアレルギー性鼻炎で長期にわたり、『鼻水、鼻づまり』症状が続くことも稀ではありません。そんなアレルギー性鼻炎と鑑別が必要な病気として『蓄膿症』が挙げられます。『蓄膿症』とは世間一般の呼び方であり、医学的には『(慢性)副鼻腔炎』のことを指します。簡単に言うと副鼻腔という鼻腔に付属する洞(空気の入った空洞)、が4つ存在し、それぞれ上顎洞(頬部)、篩骨洞(眼と眼の間)、前頭洞(眉~額の領域)、蝶形洞(鼻の最も深部で脳のすぐ手前の領域)と呼ばれこの副鼻腔に炎症を起こし、膿性鼻汁が貯まった状態を指します。

副鼻腔炎には大きく分けて、急性(発症から4週間以内)と慢性(12週以上症状が継続)の2種類があります。また原因によっても好酸球性副鼻腔炎、歯性上顎洞炎、副鼻腔真菌症など様々な副鼻腔炎が存在します。

アレルギー性鼻炎と蓄膿症(副鼻腔炎)には似ている部分もありますが、違いも多く治療法が異なります。以下に両者の比較を示します。

■アレルギー性鼻炎

原因:花粉、ダニ、ハウスダストなど

症状:くしゃみ、さらっとした鼻水、鼻づまり、目のかゆみなど

期間:原因がある限り症状が続く

治療:薬物治療(点鼻薬、抗アレルギー薬、点眼薬)、免疫治療、抗原回避

手術療法(レーザー治療、アレルギーの神経切断術など)

■蓄膿症(副鼻腔炎)

 原因:細菌、ウイルス、真菌(カビ)、虫歯など

 症状:どろっとした鼻水、鼻づまり、頭痛、頬部痛、嗅覚障害など

 期間:長期にわたり症状が続く

 治療:抗生剤投与、手術療法(内視鏡下鼻内手術)

蓄膿症の症状は、日常生活にも支障をきたすような辛い症状であり、放置しておくと、近くにある眼や脳に炎症が波及し、重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。

近年抗生物質の進歩に伴い、薬の内服で治すことのできる蓄膿症を少なくありません。しかし薬の内服でもよくならない場合、症状が強い場合など手術治療が必要となります。

 蓄膿症(副鼻腔炎)に対する手術治療は近年かなり進化しています。以前は局所麻酔で口の中から歯ぐきを切って、頬の骨を削り手術をしていました。当然術後の痛み、腫れなども強いものでした。ところが近年では、全身麻酔で内視鏡を使い鼻の穴から手術を行う事ができ、術後痛みや出血などもほとんど気にならない程度になっています。入院期間も一週間以内である病院が多いと思われます。

アレルギー性鼻炎よりも重症化する可能性のある病気として蓄膿症(副鼻腔炎)には注意が必要です。診断には経鼻内視鏡検査やレントゲン、CTなどが必要となり気になる場合には専門の耳鼻咽喉科を受診されることをお勧め致します。

宮本 秀高
筑波大学附属病院
耳鼻咽喉科・頭頚部外科 病院講師

専門:鼻科学(鼻副鼻腔手術、頭蓋底手術)
鼻副鼻腔疾患(副鼻腔炎、鼻閉、鼻アレルギーなど)を中心に診療を行っております。

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