【ドクターズコラム】裏出先生に聞く「睡眠って何ですか?」シリーズ4

【ドクターズコラム】裏出先生に聞く「睡眠って何ですか?」シリーズ4

睡眠環境を整えることは健康管理への「価値ある投資」

2013年から2018年3月筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構分子睡眠生物学教室(教授)を務め、現在は、東京大学医学部付属病院 眼科 特任研究員、北里大学薬学部 客員教授、睡眠機能性研究所株式会社 取締役研究所長など多方面で活躍。

睡眠に関する研究を30年以上続けている世界的な研究者 裏出良博先生に、研究者の視点から睡眠について教えてもらうシリーズ。第4回は「睡眠環境」についてです。

「限られた時間でも深く早く眠ることが大事」

人は眠ろうとすると放熱して体温を下げる機能があるため、入浴して抹消血管を開き熱を逃がすことが睡眠に効果的です。ただし厚すぎると逆効果になるので、体温が0.5度上昇する程度がよいとされています。また寝具についても就寝前に温かくしておくことで眠りやすくなります。就寝中は汗の気化熱で体温を下げる為、夏場はかいた汗で寝床内の湿度があがらないよう通気をよくすることも大切です。

本来であれば睡眠時間をしっかり確保することが不可欠ですが、現実的に難しいのであれば限られた時間内でいかに深く早く眠れるかが大事です。そのために温度、寝具、照明、香りなどリラックスし効率よく眠れる環境を整えることは、健康管理への価値ある投資になると思います。

「脳を休ませるだけではない睡眠の役割」

睡眠の役割の役割のひとつに、覚醒時に学習したことの反復や情報の整理が挙げられます。暗記などの知的作業に限らず、スポーツであれば、できなかったテクニックが睡眠後にできるようになっていたりと、その働きは全身に及びます。また睡眠中にしか起こらない現象もたくさんあり、たとえば成長ホルモンの分泌は子どもだけでなく成人後も発生しています。分泌量が減った高齢者へ投与したところ、脂肪の現象や筋肉・骨密度の増加が見られた実験データもあり、健康な生活を送る上で大きな役割を担っていることが判明しています。睡眠は謎が多く、いまだ全容がかいめいされていない現象が数多くあります。その一方で、脳だけでなく全身の状態が変わり、記憶やパフォーマンス、健康に大きな影響を与えている事実も次々と発見されています。

「睡眠不足は日中のパフォーマンスを悪化させる」

現代人にとって睡眠不足の主な原因は精神的ストレスと長時間の通勤でしょう。なかなか寝付けず。家にいつ時間も短い。生理的というよりは社会的、精神的な不眠ともいえます。そういった生活を続けていると、作業ミスが増えたり計算スピードが落ちたりと、日中のパフォーマンスが悪化してしまいます。さらに徹夜が続くようになると肌荒れや免疫機能の低下が起こるほか、食欲が増し、濃い味付けの食べ物への嗜好性が強調されるため、塩分や当分の過剰摂取を誘引し、生活習慣病にもかかりやすくなります。また睡眠が不十分だと、アルツハイマー病のリスクが高まることが近年の研究で明らかになっており、将来の健康をおびやかす危険もあるのです。

裏出 良博(うらで よしひろ)

東京大学医学部付属病院 眼科 特任研究員
北里大学薬学部 客員教授
睡眠機能性研究所株式会社 取締役研究所長

1983年京都大学大学院・医学研究科医学博士。83~87年新技術開発事業団・早石生物情報伝達プロジェクト研究員。米国ロッシュ分子生物学研究所や日本チバガイギー国際科学研究所、大阪バイオサイエンス研究所を経て2013年から2018年3月筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構分子睡眠生物学教室(教授)を務め、現在は、東京大学医学部付属病院 眼科 特任研究員、北里大学薬学部 客員教授、睡眠機能性研究所株式会社 取締役研究所長など多方面で活躍。企業と共同研究での睡眠の質を高める物質の発見や、筋ジストロフィーに有効な薬の研究など、研究成果の社会への還元にも積極的に取り組んでいる。


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