【ドクターズコラム】睡眠が肌に与える影響

【ドクターズコラム】睡眠が肌に与える影響

■睡眠不足でできる目の下のクマ

顔色が良いとか悪いとか言いますが、顔色のもとは皮膚の下の血液の色です。顔は皮膚が薄く、皮膚のすぐ下に血管がたくさんあるので、血流が良いときは顔がピンク色に見え、血流が悪いときには白や青黒く見えます。
睡眠不足の時にできる目の下のクマは、「青クマ」とも呼ばれています。目の下は、皮膚は非常に薄く、皮膚の下には毛細血管が豊富です。そのため睡眠不足で血流が悪くなると、酸素が少ない静脈血が目の下にたまって青黒く見えてしまうのです。睡眠不足以外に眼の疲れや冷え性でも、目の下にクマができます。

■睡眠不足だと肌が荒れやすい

睡眠時間が短すぎたり質の良い睡眠がとれていないと、肌が荒れたり化粧ののりが悪くなります。これは、成長ホルモンの分泌が十分でないことが、原因の1つです。成長ホルモンは、大人になると分泌が減ります。しかし、大人にとっても、細胞の新陳代謝を助けてくれる大切なホルモンです。

成長ホルモンは、寝ついてからの約3時間に現れる深いノンレム睡眠のときに大量に分泌されます。これを「成長ホルモンのシャワー」と呼びます。日中に傷ついた細胞は、この成長ホルモンのシャワーを浴びてメンテナンスされます。しかし、睡眠時間が短すぎたり、睡眠の質が悪かったりすると、十分な成長ホルモンが分泌されず、傷ついた細胞のメンテナンスが不十分になります。そうなると、肌のコラーゲンや水分が不足し、肌荒れや化粧のりの悪さが起こります。

■肌を健康に保つための眠り方

以前は「午後10時から午前2時は睡眠のゴールデンタイム」と、一部でいわれていました。しかし、これはあまり正しくありません。先に述べたように、成長ホルモンは午後10時~午前2時に多く分泌されるのではなく、寝ついてから約3時間に現れる深いノンレム睡眠のときに多量に分泌されます。

一方、健康に過ごすためには、多くの人で6~8時間の睡眠時間が必要です。午前6~8時に起きなければいけないとすると、6~8時間睡眠をとるためには午前0時より前には眠りにつく必要があります。目の下のクマや化粧ののりが心配なら、午後10~12時に布団に入り、6~8時間眠ることをお勧めします。

■睡眠前後の白湯で肌美人になれる

広島国際大学のグループが行った研究では、いつも就寝前や起床後に白湯を飲むと、夜ぐっすり眠れるようになり、日中の眠気も少なくなることも分かりました。これは、白湯を飲むことでリラックスでき、就寝前や起床後のストレスが減るためのようです。

また、白湯を飲んでいると、肌の水分量や基礎代謝を増やせる可能性もあります。不眠や肌荒れに悩んでいる人は、眠る前や寝起きに白湯を飲む習慣をつけると良いようです。一方、冷たいものをよく飲む人の半数は、不眠に悩んでいることも分かりましたので、注意が必要です。

雨晴クリニック 坪田 聡
睡眠専門医。医師、医学博士。
医師として快眠習慣の普及に努めるほか、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信。睡眠に関する著書多数あり。
日本睡眠学会、スポーツ精神医学会、日本医師会所属。

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