【ドクターズコラム】いきなり眠くなる人はナルコレプシーの可能性?

【ドクターズコラム】いきなり眠くなる人はナルコレプシーの可能性?

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過眠を起こす代表的な病気に「ナルコレプシー」があります。日本には、20~80万人の患者さんがいるとみられています。ナルコレプシーの患者さんには、次に挙げる「4大症状」と呼ばれる症状がよく見られます。

ナルコレプシーの4代症状とは

  • 昼間の耐えがたい眠気(睡眠発作)

普通なら眠らない状況でも、本人の意思に関係なく突然、眠り込みます。睡眠発作は、30分ほどで自然に目覚め、起きれば気分はスッキリします。起きた後しばらくは眠気がなくなっていますが、数時間たつと再び激しい眠気が襲ってきます。

  • 情動性脱力発作(カタプレキシー)

笑う、喜ぶ、怒る、驚く、興奮するなど、強い感情の動きが引き金になって、全身の力が抜けてしまう発作です。発作中、意識は保たれています。数秒~数分たつと元に戻って、体に力が入るようになります。

  • 睡眠麻痺

いわゆる「金縛り」と呼ばれるものが、寝入りばなや目覚めた直後に起こります。睡眠麻痺は、数分以内に自然になくなります。レム睡眠のときに、何かの原因で意識が残っていると、睡眠麻痺になります。

  • 入眠時幻覚

睡眠麻痺と同時に起こることが多いものに、入眠時の幻覚があります。この2つと情動性脱力発作をまとめて、「レム睡眠関連症状」とも言います。幻覚は、かなり現実感があり鮮明で、恐ろしいものが多いようです。これも睡眠麻痺と同様に、数分以内になくなります。

ナルコレプシーでは「オレキシン」が少ない

情動脱力発作を伴う典型的なナルコレプシー患者さんの約9割で、脳脊髄液中のたんぱく質の1つである「オレキシンA」の濃度が低下しています。オレキシン神経は、脳の中で覚醒系の神経ネットワークや筋肉の働きをコントロールする神経ネットワークと、深い関係があります。このことからナルコレプシーは、オレキシン神経の働きが障害されたため、睡眠発作や情動脱力発作を起こすと考えられています。

過眠症にはナルコレプシーのほかに、特発性過眠症や反復性過眠症があります。また、日中に強い眠気を起こす病気として、睡眠不足症候群や睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、睡眠覚醒リズム障害、うつ病、統合失調症などもあります。眠気が強くて心配な人は、早めに睡眠の専門医療機関を受診しましょう。

治療の切り札は、中枢神経刺激薬と抗うつ薬

ナルコレプシーを治すためには、生活習慣の改善と薬の治療が大切です。
まず、決まった時刻に起きたり眠ったりを基本とする、規則正しい生活を送って、睡眠不足を避けるようにしましょう。さらに、昼休みなどに15~30分ほどの仮眠をとると、日中の眠気をコントロールしやすくなります。

睡眠発作が起こったら危険な車の運転や調理は、できるだけ眠くなりにくい時間帯に行いましょう。また、暴飲暴食を避けることも大切です。周りの人には病気について理解してもらい、味方になってもらいましょう。そうすることで危険が減り、仕事や勉強の環境も整います。

病院では睡眠発作に対して、中枢神経刺激薬が処方されます。中枢神経刺激薬には、モディオダール(一般名:モダフィニル)やリタリン(一般名:メチルフェニデート)、ベタナミン(一般名:ペモリン)があります。自動車を運転する人は、中枢神経刺激薬を飲み忘れて運転すると、道路交通法違反で検挙されることがあるので注意しましょう。

情動性脱力発作や睡眠麻痺、入眠時幻覚に対しては、アナフラニールやトフラニールなど三環系抗うつ薬が有効です。最近では、より副作用が少ないセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン‐ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)がよく処方されています。

※本コラムは診察に該当するものではなく、一般的な見解によるものです。健康関連情報の提供を目的としており、医学・薬学等の専門的な診療、指導を提供するものではございません。

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雨晴クリニック 坪田 聡先生
睡眠専門医。医師、医学博士。
医師として快眠習慣の普及に努めるほか、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信。睡眠に関する著書多数あり。
日本睡眠学会、スポーツ精神医学会、日本医師会所属。

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