アイマスクをつけて寝ると学習能力や注意力が向上しますか?

アイマスクをつけて寝ると学習能力や注意力が向上しますか?

認知能力の向上を目指すなら、まずは夜間に電気を消すことから始めましょう。

私たちには、睡眠時間と覚醒時間を含む概日リズムを調節する体内時計があります。そして明るさは、いつ目覚めるべきか(一般的には日中)と、いつ眠くなるべきか(一般的には夜間)を決定する上で最も重要な要素です。

あなたの寝室はどれくらい暗いでしょうか? 明るさがなぜ重要なのかと、そしてアイマスクをつけて寝る価値があるのかどうかについて知りましょう。

光は睡眠とどのように係しているのでしょうか?

私たちの概日リズムは人工照明の出現よりずっと前から進化してきました。都会に行ったことがある人なら誰でもわかるように、わずか数十ワットの照明でも、私たちの脳は昼間だと錯覚してしまいます。では、あなたの寝室はどれくらい明るいでしょうか。

  • 夜、ベッドで映画を見るためにタブレットを使用すると、満月のときに屋外にいるときよりも 100 倍以上明るくなります。
  • 夜間にパソコンの画面で作業したり見たりすると、明るい駐車場に立っているときよりも約 10 倍明るくなります。

夜間に光に当たることは、睡眠に備えるための人体の自然なプロセスに影響を与えます。具体的には、私たちの脳の一部分である松果体は暗闇に反応してメラトニンというホルモンを生成します。これは睡眠の概日リズム調節に不可欠なホルモンです。

夜間に光にさらされると何が起こるのでしょうか?

夜間に光に当たると、メラトニンの生成が抑制され、睡眠パターンが変わります。常夜灯なしで眠る場合と比べ、常夜灯のそばで眠った成人は眠りが浅くなり、頻繁に目覚める傾向がありました。夜間の街灯などの屋外の人工光も、睡眠時間が短くなることと関連しています。

しかし、夜間の光の影響は睡眠だけにとどまりません。うつ症状、肥満、糖尿病、高血圧の発症リスクの増加にも関連しています。私たちの概日リズムとずれた光への曝露、つまり日中は暗く、夜は明るいことが、昼夜交代勤務によって深刻な健康問題のリスクが高まると科学者が考える理由の 1 つです。

アイマスクをつけてると果があるのでしょうか?

英国カーディフ大学の研究者らは、夜寝るときにアイマスクを着用すると、学習能力や注意力の特定の指標が向上するかどうかを調べるために、一連の実験を行いました。

実験では、18歳から35歳までの健康な若者約90人が、夜間にアイマスクを着用して眠るか、光を浴びながら眠るかを交互に繰り返し、睡眠パターンを睡眠日誌に記録しました。

研究の最初の段階では、参加者は1週間、通常のアイマスクを着用しました。その後の1週間は、マスクが光を遮らないように、両目が見える穴の開いたアイマスクを着用しました。

光にまったく当たらない状態で(穴の開いたアイマスクを着用して)眠った後、参加者は毎週6日目と7日目に3つの認知テストを受けました。

  • 最初は、対連合学習課題というテストでした。これは、人が新しい連想をどれだけ効果的に学習できるかを示すのに役立ちます。ここでの課題は、関連する単語のペアを学習することでした。参加者は、テスト前の数日間、睡眠中にアイマスクを着用したままにした場合の方が、夜間に光にさらされた場合より、良い成績が得られました。
  • 次に、研究者らは注意力を評価する精神運動覚醒テストを実施しました。夜間に光を遮断すると、このテストにおける反応時間も改善されました。
  • 最後に、5桁の数字を正しい順序でタップする運動技能学習テストが行​​われました。このテストでは、参加者がアイマスクを着用していた場合と夜間に光にさらされた場合のどちらでも、結果に違いはありませんでした。

    実験では、他に何が確認できたのでしょうか?

    完璧な研究調査は存在しないため、上記の結論を鵜呑みにしないことは重要です。

    睡眠日誌のデータによると、アイマスクを着用しているかどうかに関わらず、睡眠時間や睡眠の質に対する認識に違いは見られませんでした。

    さらに、約30人の参加者による2回目の実験では、研究者らはDreamヘッドバンドと呼ばれるモニタリング装置を使用して睡眠を客観的に追跡しましたが、アイマスクを着用した場合に、参加者がレム睡眠に費やした時間など、睡眠の構造に変化は見られませんでした。

    重要な会議や試験の前に急いでアイマスクを買いに行ったほうがいいでしょうか?

    翌日配送の追加料金を支払って、急いでアイマスクを購入する必要はないでしょう。その代わりに、時間生物学者の経験則「明るい日中、暗い夜」に従ってください。

    • 日中は、できるだけ多くの自然光を浴びるようにしましょう。朝は近所のパン屋にベーグルを買いに行ったり、仕事の合間の午後のひと休みに短い散歩に出かけたりしましょう。
    • 夜間は、スマートフォンなどの電子機器の使用を減らし、これらの機器の夜間調光モードを使用してください。不要な照明はすべて消してください。最後に、就寝時には寝室をできるだけ暗くするようにしてください。ベッドの横にある目覚まし時計を自分から離れた位置にしたり、加湿器のライトを隠したりするとよいでしょう。

    もちろん、フィット感のよい快適なアイマスクは、良い睡眠を得るための便利な追加アイテムになるかもしれません。ほとんどのものは2千円以内で買えますので、喫茶店でコーヒーを数杯飲んで眠れなくなるよりも、ぐっすり眠れて認知能力が向上するかもしれません。

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    この先生が監修しました。

    Michael Lee(マイケル·リー)
    若々しく力強い生き方の専門家

    米国Duke大学卒業
    大学病院で医師として様々なライフスタイルの患者を治療
    Johnson & JohnsonPMとして医薬品開発に参加
    レイコップ株式会社で代表開発者としてQuality of Lifeに関連した製品を開発_____________________________________________________________

     

    References:

    https://www.nigms.nih.gov/education/fact-sheets/Pages/circadian-rhythms.aspx

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5299389/table/tbl1/

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25535358/

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24210607/

    https://academic.oup.com/sleep/article/46/3/zsac305/6912219

    https://link.springer.com/referenceworkentry/10.1007/978-1-4419-1428-6_1038

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3079937/

    https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0748730419892111

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