【ドクターズコラム】赤ちゃんや子供に気をつけたい、就寝時の肌ケア

【ドクターズコラム】赤ちゃんや子供に気をつけたい、就寝時の肌ケア

赤ちゃんの肌は湿疹予備軍!!

ご存知の通り、赤ちゃんや子供の皮膚はデリケートで、ベビーオイル等を用いて肌ケアする必要があるように、湿疹やかぶれを起こしすく敏感です。
では、赤ちゃんや子供の皮膚バリアは、大人とどのように違うのでしょうか?

前回、角層を脂分のふたと例えましたが、その他にも、皮膚の表面は弱酸性(pH4.5-6)に保たれており、細菌等の繁殖を防いでいます。しかし、アトピー性皮膚炎などの炎症状態では、脂分のふたが壊れて脱水になりやすいばかりでなく、表面がアルカリ性に傾いており、皮膚が本来持っている防御能はかなり低下することが知られています。
※前回のお話はこちら。

今回は、乳幼児の皮膚バリア機能を成人と比較した興味深いデータを紹介して、赤ちゃんや子供に気をつけたい就寝時の肌ケアについて考えたいと思います。

8ヶ月から2歳までの乳幼児の皮膚のpHを測定し成人と比較したところ、乳幼児は有意に高い値を示すことが分かりました*1。つまり、赤ちゃんや子供の皮膚の表面は、大人と比べるとよりアルカリ性なので、細菌等の繁殖に弱く、アトピー性皮膚炎のように湿疹やかぶれを起こしやすい状態にあるということが示唆されるわけです。

赤ちゃんのための就寝時肌ケア

では、就寝時にはどのような肌ケアを心がけたら良いのでしょうか。

基本的には、保湿が原則です。乾燥すれば皮膚の表面はさらにアルカリ性に傾くので、ワセリンなどで油膜を作ってあげるのはと良いでしょう。湿気が多くて蒸れてしまうオムツが当たる部位は、水分蒸散がほかの部位よりもより大きいです。*1また入浴後にも相対的に水分蒸散が大きくなっていると考えられます。ですから、ですから赤ちゃんの肌ケアは入浴→保湿→就寝はセットで行うのが良いでしょう。また、首回り、肘や膝は擦れる部分なので、乾燥しているとさらに皮膚バリアが弱くなり、湿疹やかぶれを起こしやすくなるばかりでなく、細菌やダニ等のアレルゲンも入りやすくなるので、特に入念に保湿をしてあげる必要があるでしょう。

もちろん、直接肌に触れる衣服や布団などを清潔に保ち、アレルゲンを除去するといった、外側からのケアも日々怠りなく行う必要があるでしょう。

*1 Simpson EL, Chalmers JR, Hanifin JM, Thomas KS, Cork MJ, McLean WH, Brown SJ, Chen Z, Chen Y, Williams HC. Emollient enhancement of the skin barrier from birth offers effective atopic dermatitis prevention. J Allergy Clin Immunol. 2014 Oct;134(4):818-23.

筑波大学皮膚科 石塚洋典
皮膚科専門医。医学博士
診療のかたわら、皮膚のバリア異常が関与する病気や、角化の基礎的な研究を続けている。

軽くて楽々!ベッドに絡まりやすい髪の毛や、ペットの抜け毛もキャッチ!

ブログに戻る