【ドクターズコラム】日中の眠気が強いと「過眠症」? それともただの「睡眠不足」?

強い眠気には病気が隠れているかも

日中の眠気が強くて、仕事や家事、勉強に支障が出て困る……。このような状態は、単に睡眠不足がたまっているだけかもしれませんが、何らかの病気の可能性もあります。

睡眠不足がたまっているだけなら、本人にその自覚があるはずです(自覚がなくて睡眠不足が蓄積している「睡眠不足症候群」という病気の可能性はありますが…)。また、十分な睡眠時間をしばらくとると日中の眠気がなくなるなら、過眠症などの病気ではないと思われます。

しかし、十分な時間眠ってもまだ眠気が強い場合や、睡眠に関するほかの症状があるときは、睡眠障害を疑う必要があります。たとえば、過眠症の代表である「ナルコレプシー」では、何をしていても急に眠り込む「睡眠発作」や、感情が高ぶると力が抜ける「情動脱力発作」などを伴うことがあります。

ここでは眠気のセルフチェックと、過眠症やほかの眠気を起こす病気について、睡眠の専門医が詳しく解説します。

■眠気のセルフチェックをしてみよう!

あなたの眠気が異常かどうかを調べるために、セルフチェックをしてみましょう。ここでは、世界中で使われている「エップワース眠気尺度」をご紹介します。以下の状況でウトウトしてしまったり、眠ってしまったりすることはありませんか? 最近の日常生活を思い出して、0から3のうち最も当てはまる点数を選んでください。

A.座って本を読んでいるとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

B.テレビを見ているとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

C.人の大勢いる場所でじっと座っているとき(会議や映画館など)、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

D.他の人が運転する車に乗せてもらっていて、1時間くらい休憩なしでずっと乗っているとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

E.午後じっと横になって休んでいるとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

F.座って人とおしゃべりしているとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

G.お昼ご飯のあとに静かに座っているとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1 よくある: 2  大体いつも: 3

H.自分が車を運転していて、数分間信号待ちをしているとき、居眠りをすることは

絶対にない: 0  時々ある: 1  よくある: 2  大体いつも: 3

■11点以上は過眠症の可能性あり

それでは眠気の判定です。上記の8つの質問項目の各得点(0~3点)を、すべて足し合わせて総合得点を出してください。点数が高いほど日中の眠気が強く、逆に得点が低いほど眠気は弱いと判定します。

総合得点が11点以上の場合は、何かの病気が原因で強い眠気が起こっている可能性があります。早めに睡眠障害の専門医を受診するのが良いでしょう。一方、10点以下であっても、しばらくたってから再びテストすると高得点になることもあります。慢性的な眠気を感じているのなら、時期をずらして再評価してみてください。

■考えられる過眠症と睡眠に関連する病気

エップワース眠気尺度が11点以上の人は、どんな病気の可能性があるのでしょうか? 当てはまる病気が見つかれば、早めに睡眠障害の専門医療機関を受診しましょう。

〇過眠症

・ナルコレプシー

会話中や機械の操作中などにも眠ってしまいます。笑ったり驚いたりすると、体の力が抜けることがあります。睡眠中に金縛りにあったり、幻覚を見たりします。

・特発性過眠症

日中に眠りこむと、起こそうとしてもなかなか目覚めません。眠った後も、すっきりした感じがしません。寝覚めが悪く、ひどく寝ぼけることもあります。

・反復性過眠症

3日~3週間の眠気が強い状態と、その後の通常の状態が、交互に繰り返されます。

・月経関連過眠症

月経の周期と関連して強い眠気を感じます。その時期を過ぎると、日中の眠気がなくなります。

〇過眠症以外の睡眠の病気や状態

・睡眠時無呼吸症候群

大きなイビキをかき、睡眠中に呼吸が止まります。朝起きたときに、頭痛やノドの渇きがあります。肥満の人や顎が小さい方が多いです。

・薬剤性過眠

睡眠薬や精神科の薬、かぜ薬、花粉症の薬などを飲んでいます。

・冬季うつ病

気分が落ち込んで、これまで興味があったことにも興味がなくなります。食欲が増すこともあります。

・長時間睡眠者

 子どもの頃から長い時間、眠っています。十分な睡眠をとると日中の眠気が減ります。

・睡眠不足症候群

夜の睡眠が不十分なのに、睡眠不足の自覚がありません。しばらく十分な睡眠をとると、日中の眠気が軽くなります。

・むずむず脚症候群

夕方から夜にかけて、脚に変な感じがあります。じっとしていると脚の不快感がひどくなり、脚を動かしたりたたいたりすると少し楽になります。

・周期性四肢運動障害

睡眠中に足がリズミカルに動きますが、本人の自覚はほとんどありません。

・睡眠相後退症候群

睡眠の時間帯が遅いほうにずれていて、極端な夜更かしで朝寝坊の人が、普通の時間に起きようとすると日中の眠気が強まります。

・非24時間睡眠覚醒症候群

就寝時刻と起床時刻が毎日1時間ずつ遅れていきます。

・不規則型睡眠覚醒パターン

眠っている時間帯と目覚めている時間帯がバラバラです。

仕事中や運転中の居眠りは、大きなミスや事故の原因になります。強い眠気に悩まされている方は早めにチェックして、病気が疑われるときは医療機関を受診してください。

雨晴クリニック 坪田 聡
睡眠専門医。医師、医学博士。
医師として快眠習慣の普及に努めるほか、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信。睡眠に関する著書多数あり。
日本睡眠学会、スポーツ精神医学会、日本医師会所属。

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