【ドクターズコラム】睡眠とアルコール(お酒)の関係

■飲酒と睡眠の深い関係とは

日本人は、世界の中でもっとも寝酒を好む国民です。2002年に行われた欧米やアジアの10カ国を比較した調査によると、日本人は不眠のために医療機関を受診する割合が極端に少なく、そのかわり、不眠を解消するためにアルコールを摂取する割合がダントツに高く、3割を占めました。

少量のアルコールを飲むと、寝つきが良くなるのは事実です。アルコールは脳の中で、興奮系の神経伝達物質であるグルタミン酸の働きを抑え、抑制系の神経伝達物質であるギャバの受容体を刺激することで、鎮静や催眠の作用を発揮します。

■アルコールへの耐性

さらに、多量のアルコールを毎日飲み続けていると、はじめにあった催眠効果が次第に弱まり、アルコールに対する耐性ができてしまいます。耐性ができると次第に睡眠時間が短くなるため、睡眠時間を確保しようとしてお酒の量が増え、結果としてコール依存症になるリスクが高まります。

ところが、アルコールは量が増えると、睡眠の質を悪くしてしまいます。体重1kgあたり1gほどの中等量のアルコールでは、睡眠前半の深い睡眠が増えますが、後半には浅い睡眠が増え、夜中に目覚めやすくなります。

■お酒を飲んだら熟睡できる?

お酒を飲んだ夜は、トイレが近くなって夜中に目覚めてしまうことが多くなります。ビールなどをたくさん飲むと、水分も一緒にたくさんとっています。また、アルコールは「抗利尿ホルモン」という尿が作られないようにするためのホルモンの働きを邪魔するため、眠っている間でもトイレへ行きたくなって、目が覚めてしまいます。

さらに、アルコールは舌やノドの筋肉を麻痺させるので、仰向けで眠ったときに舌がノドに落ち込みやすくなります。同時に、鼻やノドの粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなります。そのため、イビキをかいたり呼吸が止まったりしやすくなり、睡眠が浅くなったり目が覚めたりします。

■お酒は百薬の長なの?適量とは?

寝つくときにアルコールの血中濃度がゼロであれば、少なくとも睡眠に対するアルコールの悪影響は防げます。そのためには、体重60kgの健康な男性の場合、眠る3時間前までに日本酒なら1合、ビールなら中ビン1本、ワインならグラス2杯を限度として楽しみましょう。女性や高齢者の多くでは、この半分の量が適量です。また、アルコール分解で負担のかかる肝臓のために、週1~2日はお酒を飲まない休肝日を作りましょう。

雨晴クリニック 坪田 聡
睡眠専門医。医師、医学博士。
医師として快眠習慣の普及に努めるほか、行動計画と医学・生理学の両面から、睡眠の質の向上に役立つ情報を発信。睡眠に関する著書多数あり。
日本睡眠学会、スポーツ精神医学会、日本医師会所属。

アルコールに頼らない質の高い睡眠へ<ふとんコンディショナー誕生>

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