夜中の1時、3時、5時……と何度も目が覚めてしまうことはありませんか。2~3回起きるのは当たり前、なかには5回も目が覚めてしまい、ぐっすり眠れないという方もいます。
本記事では、夜に何度もトイレに行きたくなる原因と、その具体的な対策を分かりやすく解説します。寝る前のアルコールやカフェインを控える、水分を摂りすぎないといった基本的な方法だけでは、十分に改善しないケースも少なくありません。
そこで、より踏み込んだ視点から夜間頻尿の背景にある要因を整理し、日常生活で取り入れやすい改善のヒントをご紹介していきます。
夜間頻尿と不眠症の違い

夜に何度もトイレへ行く場合、まず確認したいのは「本当に尿意で目が覚めているのか」という点です。というのも、尿意が原因だと思っていても、実際には不眠症によって目が覚めていることがあるかです。
目が覚めたときに、「どうして起きたんだろう。もしかしてトイレに行きたいからかな」と考え、「念のためトイレに行っておこう」と思う程度であれば、尿意ではなく不眠症によって目が覚めている可能性があります。
このようなケースでは、夜中に排尿しても尿量はそれほど多くありません。不眠症が背景にあると考えられる場合は、睡眠の質を高める治療に取り組むことが重要です。
昼間のむくみが夜間頻尿を引き起こす理由とは?

では次に、本当に尿意によって目が覚めてしまうケースについて見ていきましょう。通常、夜間は抗利尿ホルモンの働きによって尿量が自然と減る仕組みになっています。しかし、それにもかかわらず尿が多く作られてしまうことがあります。その代表的な原因が「むくみ(浮腫)」です。
昼間に立ち仕事や長時間のデスクワークが続くと、重力の影響で水分が下半身に溜まりやすくなり、足がむくみます。そして夜に横になると、下半身に溜まっていた水分が徐々に血中へ戻り、数時間後に尿として排出されます。その結果、夜間にトイレが近くなります。
この状態を改善するには、就寝前に余分な水分をあらかじめ体外へ出しておくことが重要です。具体的には、就寝の2時間ほど前から足を高くして過ごしたり、着圧ソックスを履いたりする方法が効果的とされています。着圧ソックスにはさまざまな種類がありますが、膝丈でつま先が開いているタイプは着脱しやすく、日常生活に取り入れやすいでしょう。
泌尿器科系の疾患が原因の場合

前立腺肥大症や尿失禁、過活動膀胱など泌尿器科の疾患が十分にコントロールできていない場合、その影響が夜間まで及び、夜間頻尿につながることがあります。
前立腺肥大症では、前立腺の大きさを適切に管理することが重要です。本来、尿は最後までしっかり出し切るのが理想ですが、前立腺が肥大していると尿道が圧迫され、十分に排出できないことがあります。その結果、膀胱に尿が残りやすくなり、再び満タンになるまでの時間が短くなります。そのため、トイレに行ったばかりでも、すぐにまた尿意を感じやすくなるのです。
また、女性に多くみられるのが過活動膀胱です。これは、昼夜を問わず強い尿意が頻繁に起こる状態を指します。症状が進むと突然強い尿意に襲われ、トイレに間に合わず尿が漏れてしまうこともあります。この場合は、行動療法や薬物療法によって過剰な尿意のサインをコントロールする治療が有効です。
見逃されやすい原因|睡眠時無呼吸症候群

これまでに挙げた疾患が見当たらないにもかかわらず夜間頻尿が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。
睡眠時無呼吸症候群では、いびきの途中で呼吸が一時的に止まる「無呼吸」の状態が繰り返されます。無呼吸によって体に負担がかかると、心臓からANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)という物質が分泌されます。ANPには尿の排出を促す作用があるため、夜間の尿量が増える一因になると考えられています。
いびきがひどい・50代以上の男性である・肥満傾向がある・高血圧を指摘されているといった条件に当てはまる場合は、医療機関で検査を受けることをおすすめします。
まとめ|夜間頻尿は正確な原因の見極めが重要
最後にもう一度、ポイントを整理します。まず確認したいのは、本当に尿意のせいで目が覚めているのかという点です。尿意によるものであれば、前立腺肥大症や過活動膀胱などの泌尿器科疾患をしっかり治療することが最優先となります。
一方、明らかな疾患がないにもかかわらず夜間頻尿が続く場合は、むくみや睡眠時無呼吸症候群など、別の要因がないかをチェックしてみてください。
睡眠は健康を支える大切な基盤であると同時に、とても繊細で複雑な仕組みのうえに成り立っています。安易に睡眠薬に頼るのではなく、原因を正しく把握しいたうえで適切な対策を行うことが、健やかな睡眠を取り戻す近道といえるでしょう。
この先生が監修しました。

Dr. マイケル・リー
アメリカ・デューク大学2002年卒業。
大学卒業後、大学病院の医師として様々なライフスタイルの患者の治療に従事。
その後、治療現場の経験を生かし、アメリカの大手製薬メーカーJohnson & Johnsonで
医療製品開発の実務経験を積み、2012年にレイコップ株式会社を設立。
医師として、また開発者として、
「人々の暮らしをより健康で豊かに(Better Quality of Life)」という信念に基づき、
「暮らしの中の予防医療」を目指し、日々の生活習慣に溶け込むような製品の開発に取り組んでいる。






