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【ドクターズコラム】人に寄生するダニが引き起こす、非常にかゆい皮膚病「疥癬(かいせん)」とは

疥癬(かいせん)とは?

疥癬(かいせん)は、ヒゼンダニ(*1)というヒトの皮膚に寄生するダニによって引き起こされる非常に痒い皮膚病です。

*1:ヒゼンダニの虫体

前回までのコラムで紹介したイエダニやトリサシダニなどは、普段はヒトの皮膚から離れて生活しています。ところが、ヒゼンダニは、常にヒト皮膚(皮膚の中でも「角層」と呼ばれる皮膚の一番外側の部分)で角質を食べて生活し、角質の中で繁殖して卵を産みます。

そして皮膚から離れると直ぐに死んでしまいます。すなわち、ヒトに「寄生」して生活している点が他のダニ類と大きく異なるところです。

疥癬(かいせん)はどんなところで発生する?

疥癬の多くは老人福祉施設や養護施設、病院などの身体の動きが不自由な人が集団生活をしている場所で発生します。ときに入所者だけではなく介護者、医療者とその家族に感染し、家庭内で発生することもあります。また、介護施設や医療施設などと直接関係がない人が疥癬を発症し、感染経路が不明という場合もときどきあります。

 

疥癬(かいせん)の症状と診断

*2:疥癬(かいせん)の発疹(腹部)

疥癬の症状は、強い痒みがある赤い皮膚の盛り上がり(丘疹・結節)が多発することです (*2)。初期には数カ所だけですが、数週間のうちに全身に増数・拡大します。非常に痒いので、激しく引っ掻いてジクジクした斑点になることもあります。

発疹ができやすいのは、脇の下、股、太ももの内側、指の間、肘・膝の内側など皮膚が窪んだ場所です。このような疥癬の症状は、一般的な湿疹・皮膚炎・虫刺されなどと一見よく似ているため、疥癬の診断は皮膚科医でも難しいことが多いです。

しかし、指の間や手のひら、手首屈側などをよくみると「疥癬トンネル」(*3) と呼ばれる糸状の細い小さな発疹があり、このかさぶたを取って顕微鏡検査して、ヒゼンダニの虫体や卵、糞などが見つかることで疥癬の診断がつきます。

*3:疥癬(かいせん)トンネル

疥癬(かいせん)の治療

疥癬の治療は、特効薬であるイベルメクチンという内服薬を1週間の間隔をあけて2回内服します。イベルメクチンは線虫症の治療薬として開発され、その功績により2015年に大村智先生がノーベル医学・生理学賞を受賞したのは記憶に新しいところですが、イベルメクチンは疥癬の特効薬でもあるのです。また、内服以外の外用療法としては、フェノトリンやクロタミトンの塗布があります。

疥癬(かいせん)といわれたら

自分や家族が疥癬と診断されたら、日常生活は皮膚科専門医の指導に従ってください。
ヒゼンダニは乾燥に弱く、ヒトの皮膚から離れると数時間で死滅しますので、角化型疥癬と呼ばれる重症の疥癬を除けば、通常の疥癬で日常生活において特に気をつけることはありません。
いたずらに神経質になる必要はありませんが、寝具類を普段よりまめにとりかえたり、寝具や部屋の掃除を普段より念入りにしたりすることはやってもよいことだと思われます。

ドクター
東京医科大学茨城医療センター 皮膚科
教授 川内康弘

1987年 筑波大学医学専門学群卒業
1993年 筑波大学大学院博士課程卒業。医学博士
2014年 東京医科大学茨城医療センター皮膚科 教授

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