医学的に読み解く「成功率1%ダイエット」の真実|脂肪で痩せるケトジェニック食のすすめ

医学的に読み解く「成功率1%ダイエット」の真実|脂肪で痩せるケトジェニック食のすすめ

多くの人は「カロリーを減らせば痩せる」と思いがちですが、実際には白米やパンなどの炭水化物を摂り続けながらカロリーだけを制限すると、空腹感が強まり、ダイエットは失敗しやすくなってしまいます。その原因の一つが「インスリンスパイク」です。

インスリンスパイクとは、炭水化物を摂取すると血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンが大量に分泌され現象のことをいいます。インスリンスパイクは、脂肪の蓄積を促すだけでなく、血糖値の乱高下によって強い空腹感を引き起こします。そのため、カロリーを抑えていても空腹に耐えられず、結果的にリバウンドや過食を招いてしまうのです。

一方で、インスリンの分泌を抑えながら満腹感を長く保つことができれば、空腹に苦しむことなくダイエットを続けることができます。そこで注目されているのが、「健康的な脂質の摂取」です。

 

なぜ脂質がカギなのか?

人間の身体は、糖質よりも脂質を燃焼させて「ケトン体」をつくり、それをエネルギー源として利用するようにプログラムされています。ケトン体は、脂肪が分解される過程で肝臓がつくりだす物質で、糖質の代わりに脳や筋肉などのエネルギー源として使われます。つまり、私たちの体には、もともと脂肪を優先的に使ってエネルギーをつくる仕組みが備わっているのです。この働きをうまく引き出すことで、エネルギー供給がより安定し、健康面でもさまざまな効果が期待できます。

脂質は、血糖値をほとんど上昇させずにインスリンの分泌を抑えることができる栄養素です。さらに、胃の中に長くとどまりやすいため、レプチンなどの満腹ホルモンの分泌を促し、満足が持続しやすくなります。その結果、自然と間食や過食を減らすことができるのです。

 

ケトジェニック食のすすめ

ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取を極力控え、代わりに脂質を多く摂ることで体内の代謝を「糖代謝」から「脂肪代謝(ケトン体代謝)」へと切り替える食事法です。

人間の体は、ブドウ糖よりもケトン体をエネルギー源とした方が、代謝が安定するといわれています。ケトン体は脳の神経細胞においても優れたエネルギー源とされ、炎症や細胞の老化・ダメージを抑える効果があると考えられています。そのため、脳のパフォーマンスを高めるほか、認知機能の維持や老化予防にも役立つ可能性があります。

ケトジェニックダイエットは、炭水化物の摂取を控え、脂質を主なエネルギー源とする食事法です。この方法によって、インスリンスパイクを避けながら、ケトン体を活用した“脂肪燃焼型”の代謝へと切り替えることができます。実際に、ケトジェニックダイエットは減量効果だけでなく、血糖をうまく処理できない「インスリン抵抗性」の改善や脂肪肝、糖尿病の予防にも役立つとされています。さらに、心血管疾患や認知症のリスク軽減にもつながり、健康寿命を延ばす可能性があると考えられています。

ケトジェニックダイエットを効果的に行うためには、1日の糖質摂取量を『50g以下』に制限することが重要です。そのためには、主食であるご飯やパンの摂取量を大幅に減らす必要があります。たとえば、ご飯は1日あたり茶碗4分の1(約40g)程度に抑えるか、もしくは完全に避けるのが理想です。食パンの場合は、6枚切りの半分(約1/2枚)以下にとどめましょう。また、バナナ1本には約20g、加糖ヨーグルト100gには約10gの糖質が含まれています。このように、一見ヘルシーな食材でも、組み合わせによってはすぐに50gを超えてしまうため、食品の種類や量に注意することが成功のカギとなります。こうした工夫を続けることで、体はブドウ糖ではなく脂肪を主なエネルギー源とするようになり、ケトン体を効率よく利用する「ケトーシス」の状態へと移行していきます。

 

ケトジェニック食を日常生活に取り入れるコツ

ケトジェニックダイエットは、特別な食材や料理を必要とするわけではありません。日々のちょっとした工夫で、無理なく続けることができます。以下に、いくつかの具体例をご紹介します。

朝食
パンの代わりに、ゆで卵+アボカド+MCTオイル(ココナッツやパーム由来の中鎖脂肪酸油を主成分とする油)入りのコーヒーを摂る。

間食
ナッツ、チーズ、無糖ヨーグルトなど、糖質の少ないものを摂る。小腹が空いたときは、ゆで卵や味付け海苔、無糖ナッツ、糖質オフのプロテインバーなどでコントロールする。

主食
ご飯やパンなどの主食は控えめにして、肉・魚・卵を中心としたメニューにする。弁当を選ぶ際は、ご飯を残してハンバーグや焼き魚などのおかずを中心に食べる。

外食
焼き魚定食、しゃぶしゃぶ、焼き鳥(塩)、ステーキ、すき焼き(ご飯なし)、海鮮丼(ご飯少なめ)など、低糖質なメニューを選ぶ。居酒屋では、枝豆、冷奴、刺身、牛たたき、アヒージョ、厚揚げ焼きなどをチョイスする。

コンビニ
サラダチキン、ゆで卵、スモークタン、チーズ、ロカボナッツ(低糖質ナッツ)、無糖カフェラテなどを活用する。

家庭料理
カリフラワーライス(カリフラワーを細かく刻んでお米のようにしたもの)や豆腐ステーキ、豚バラキャベツ炒め、卵入り味噌汁、ズッキーニのパスタ風(ズッキーニを細長く刻んで麺のように仕上げたもの)などを取り入れる。

甘いもの
カロリーや糖質が少ないラカントやエリスリトールを使い、プリンやレアチーズケーキなどの手作りスイーツに置き換える。

 

まとめ

ダイエットに失敗する最大の原因は、「空腹感に耐えられないこと」です。そして、その根本的な原因にはインスリンスパイクが関係しています。インスリンスパイクを防ぐためには、糖質を控え、満腹感が続きやすい良質な脂質を意識して摂取することが大切です。つまり、空腹を感じにくい食事内容こそが、ダイエットの成功のカギといえます。

さらに、ケトジェニックダイエットには、単なる体重の減少にとどまらず、医療的にも注目される多くのメリットがあります。インスリン抵抗性の改善、慢性炎症の抑制、脳の働きを守る効果など、体の働き全体を整える効果が期待されているのです。ケトジェニック食を日々の習慣として定着させることは、健康寿命を延ばし、生活の質(QOL)そのものを高めることにもつながります。短期的な減量を目指すだけでなく、長期的な健康維持を見据えたライフスタイルとして、今あらためて注目すべき食事法といえるでしょう。


 


この先生が監修しました。

Dr. マイケル・リー

アメリカ Duke(デューク)大学卒業。大学病院で医師として様々なライフスタイルの患者を治療。
アメリカの大手製薬メーカーで医療製品開発の実務経験を積んだ後、2012年レイコップ株式会社を創業。
代表開発者としてBetter Quality of Life(人々の暮らしをより健康で豊かに)に関連した製品を開発。
新たなウェルネスブランド Dr. MiCHAEL(ドクターマイケル) を立ち上げ、サプリメント製品の販売を開始。


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