膵臓がんの初期サインと膵臓を守る食事管理

膵臓がんの初期サインと膵臓を守る食事管理

近年、日本では膵臓がんが、がんによる死亡原因の上位を占めており、年々増加傾向にあります。特に深刻なのは、患者の多くが、すでに進行した3期または4期の状態で発見されることです。診断後の5年生存率はわずか10%ほどとされ、10人中9人が命を落とすともいわれる恐ろしい膵臓がん。Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズも、この病に命を奪われた一人でした。

膵臓に負担をかけやすい食べ物として、太巻きやトンカツ、缶コーヒーやジュースなどに含まれる大量の液体果糖などが挙げられます。身体の代謝を支える膵臓を守るためには、こうした食べ物の摂りすぎを避けることが大切です。

最近、消化が良くない、背中が張るような感じがすることはありませんか。「ちょっと疲れているだけかな」と思い、マッサージを受けたり湿布を貼ったりしても、なぜかスッキリせず、痛みが続く場合は注意が必要です。

本記事では、膵臓がんの自己チェックのポイントをはじめ、私たちが何気なく毎日食べているものが、膵臓にどのような負担をかけているのかを分かりやすく解説します。


膵臓がんを見つけにくい理由と検査の限界

膵臓は、私たちの身体の中で最も深い場所にある、いわゆる「後腹膜臓器」です。胃、十二指腸、大腸の後ろ側に隠れるように位置しています。そのため、一般的な健康診断で行われる「腹部超音波」では、膵臓の異常や小さながんを発見するのが非常に困難です。

お腹の中に少しでもガスが溜まっていると、膵臓の形や腫瘍を確認しにくくなります。特に、膵臓の体部や尾部は、超音波検査では死角になりやすい部分です。また、がんマーカーであるCA19-9検査も精度に限界があり、確実にふるい分けるには不十分です。

確実な発見のためには、造影剤を使ったCT検査や、内視鏡の先端に超音波を付けて直接観察する内視鏡超音波検査(EUS)などの精密検査が必要になります。

膵臓がんは進行が非常に速く、周囲の血管や神経に広がりやすいだけでなく、リンパ節や肝臓などへ転移しやすいがんです。そのため、少しでも異常の兆候がある場合は、精密検査をためらわないことが大切です。


見逃しやすい膵臓がんの初期サインと注意すべき症状

初期の膵臓がんには、これといった特有の痛みは見られません。一方、注意すべきシグナルとして、腹部の膨満感や胃もたれ、消化不良といった症状が挙げられます。こうした不調が起こるのは、膵臓にできた腫瘍によって膵管が圧迫され、消化酵素の流れを妨げるからです。膵管は、膵臓で作られた「消化酵素」を含む膵液が十二指腸へ流れるための通り道です。しかし、腫瘍によって膵管が圧迫されると膵液の流れが妨げられ、消化酵素が十分に届きにくくなります。その結果、脂肪が消化されないまま小腸に残り、腹部の不快感が現れることがあるとされています。

そのため、原因不明の消化不良が4週間以上続き、胃薬を飲んでも改善が見られない場合は注意が必要です。さらに、胃内視鏡検査で異常が確認されないにもかかわらず症状が続く場合には、膵臓に何らかの問題が潜んでいるおそれがあります。

また、膵臓は身体の後ろ側にあるため、異常が生じると背中側に広がるような痛みが出たり、背中が少し張るように感じたりすることがあります。筋肉痛と勘違いする人もいますが、見分けるポイントは「痛みの出方」です。筋肉痛は痛む場所が比較的はっきりしており、マッサージをすると和らぐことがあります。一方、膵臓に関連する痛みは、身体の奥深いところから伝わってくるように感じられ、マッサージでは改善しにくい傾向があります。特に、前かがみになると痛みが軽くなり、仰向けになると痛みが強くなる場合は、ただの筋肉痛と区別して考えることが大切です。


便の変化や糖尿病との関係

膵臓の働きが低下すると、腹部の不快感だけでなく、便にも変化が生じます。通常、脂肪は胆汁によって乳化され、膵臓から分泌されるリパーゼによって消化・吸収されます。しかし、膵臓の働きが低下するとリパーゼが分泌されにくくなり、脂肪が十分に吸収されないまま便として排出されることがあります。これを「脂肪便」といいます。

脂肪便では、便器の水面に油膜が浮いたり、便がねばねばしてなかなか流れなかったり、悪臭が強く灰色や粘土色に見えたりする場合があります。こうした便の変化が見られる場合は、腸の問題だけでなく、膵臓の外分泌機能が低下しているサインの可能性もあるため、検査を受けることが大切です。また、中年以降に突然糖尿病を発症したり、ダイエットをしているわけでもないのに体重が落ちたりした場合も注意が必要です。腫瘍が膵臓の組織に影響を与えると、インスリンを分泌するβ細胞の機能が低下し、糖尿病を引き起こすことがあるためです。突然血糖コントロールが難しくなった場合は、膵臓の状態を確認しておきましょう。

最後に、黄疸です。膵臓の頭部に腫瘍ができると胆管を塞ぐことがあり、血中のビリルビン値が高くなって、目や皮膚が黄色く見えるようになります。また、尿の色がコーラのように濃くなったり、皮膚のかゆみが出たりすることもあります。黄疸が出ている場合は、すでに腫瘍がかなり大きくなっている可能性もあるため、早めの受診が必要です。


膵臓に負担をかけやすい食べ物とは?

私たちが毎日食べているものの中には、気づかないうちに膵臓へ負担をかけているものがあります。膵臓には、大きく分けて2つの働きがあります。ひとつは血糖を調整する「内分泌」、もうひとつは消化を助ける「外分泌」です。しかし、普段よく口にする食べ物の中には、この2つの働きに同時に大きな負担をかけるものがあります。

1つ目は、「寿司」と「おにぎり」です。寿司やおにぎりはあっさりとした食べ物だと思われがちですが、膵臓への負担という点では注意が必要です。たとえば、寿司のご飯である「シャリ」を作るときに使う合わせ酢を思い出してください。合わせ酢には、意外なほど多くの砂糖と酢が使われています。精製された白米に砂糖が加わると、血糖値は急激に上がりやすくなります。その結果、インスリンを分泌する膵臓の内分泌細胞には、大きな負担がかかります。

特に、太巻きは要注意です。中には、甘い卵焼きや、醤油と砂糖で煮込んだかんぴょう、しいたけなどが入っています。これらは実質的に「砂糖の塊」を食べているようなものともいえます。また、忙しい朝に手軽に食べられるおにぎりも、膵臓にとってはインスリンと消化酵素を同時に必要とする「膵臓爆弾」になるという事実を知っておく必要があります。

2つ目は、「牛丼」と「トンカツ」です。サラリーマンがランチでよく選ぶメニューですが、牛丼は膵臓に二重苦を与える食べ物といえます。牛肉の脂身を分解するためには、脂肪を分解する酵素であるリパーゼが大量に必要となります。さらに、肉を煮込む甘いタレによって血糖値が上がりやすくなり、インスリンも多く分泌しなければなりません。

トンカツはさらに深刻です。脂身の多い肉に小麦粉の衣をつけ、高温で揚げて作られるため、脂肪を処理する膵臓には大きな負担がかかります。膵臓は、炎症に非常に弱い組織です。高脂肪・高糖分の食事が繰り返されると、膵臓の細胞に少しずつダメージが蓄積し、慢性膵炎につながる可能性があります。そして、慢性膵炎は膵臓がんのリスクを高める要因のひとつとされています。

3つ目は、自販機の国・日本で特に注意したい「液体果糖」です。自販機で買える缶コーヒーやフルーツジュース、炭酸飲料などには、高果糖コーンシロップ(HFCS)が含まれていることがあります。そして、高果糖コーンシロップは、がん細胞が好む栄養源と考えられています。最近の研究では、高濃度の果糖ががん細胞の脂質合成を促し、細胞膜を増やすためのエネルギー源として使われる可能性が示されています。

最後に注意したいのが、ハムやソーセージなどの「加工肉」です。加工肉の赤い色を出すために使われる亜硝酸塩は、消化の過程で「ニトロソアミン」という発がん性物質を生成します。この毒性のある代謝物が、膵臓細胞のDNAを傷つけ、がんの発生に関わるおそれがあるとされています。

膵臓は、一度大きなダメージを受けると、元に戻すのが非常に難しい臓器です。だからこそ、日々の食生活の中で、知らないうちに膵臓へ負担をかける食品を少しずつ減らしていくことが重要です。


私の膵臓は大丈夫?3つのセルフチェックポイント

以下に、自身の膵臓の状態をチェックする方法をまとめます。

1.食後の痛み
脂っぽい食事をしたあとやお酒を飲んだあとに、みぞおちの左側が締め付けられるように痛むかを確認してください。また、その痛みが背中に広がるかどうかも大切なポイントです。

2.便の状態
便器の水面に油が広がっていないか、便がねばねばして跡を残していないかを、日頃から確認してください。このような変化が見られる場合は、膵臓の外分泌機能が低下している可能性があります。

3.糖尿病と体重の変化
家族歴がないにもかかわらず突然血糖値が上がった場合や、6ヶ月以内に体重が急激に減った場合は、膵臓の精密検査を受けるようにしましょう。


まとめ|膵臓をいたわる習慣を身につけて健康寿命を延ばそう

ここまで、膵臓がんの危険性について見てきましたが、過度に恐れを抱く必要はありません。ここでお伝えしたかった本当の目的は、膵臓がんを怖がるのではなく、「普段の習慣で膵臓の老化時計を遅らせよう」ということだからです。

本物のスローエイジング(Slow-Aging)は、身体の代謝エンジンである膵臓を若く保つことから始まります。膵臓が疲れすぎず、ゆとりを持って働ける身体づくりは、重要ながん予防策になります。

まずは、血糖スパイクを防ぎ、膵臓に「休息」を与えましょう。精製炭水化物や砂糖を減らすことは、単に痩せるためだけのものではありません。インスリンを出し続けて疲れている膵臓に、ひと息つく時間を与えることでもあります。膵臓がゆとりを持って働けるようになると、身体の炎症を抑えやすくなり、老化のスピードを緩やかにすることにもつながります。

また、健康なうちに「良い脂肪」で代謝を目覚めさせることも大切です。健康なうちにオリーブオイル、アボカド、ナッツ類などを取り入れることは、膵臓のインスリン負担を軽減する助けになります。膵臓が若くなければ、全身の若さも保ちにくくなります。毎日の食事選びや、甘い飲み物をお茶に変える小さな習慣が、膵臓がんという悲劇を防ぐための確実な投資になるのです。病気になってから対処するのではなく、ケトジェニック食のようなスローエイジング食で、健康を先取りする人生を選んでください。膵臓の時計をゆっくり進めることができれば、人生の後半戦はより輝き、活気に満ちたものになるでしょう。

 


この先生が監修しました。

Dr. マイケル・リー

アメリカ・デューク大学2002年卒業。
大学卒業後、大学病院の医師として様々なライフスタイルの患者の治療に従事。
その後、治療現場の経験を生かし、アメリカの大手製薬メーカーJohnson & Johnsonで
医療製品開発の実務経験を積み、2012年にレイコップ株式会社を設立。

医師として、また開発者として、
「人々の暮らしをより健康で豊かに(Better Quality of Life)」という信念に基づき、
「暮らしの中の予防医療」を目指し、日々の生活習慣に溶け込むような製品の開発に取り組んでいる。

 

 


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