「この寒い冬になんで花粉?」
「アレルギーって春だけじゃないの?」
外はまだ寒いのに、くしゃみや鼻づまりの症状が出始めると、このような疑問を覚える方も多いでしょう。でも実は、その不調は単なる花粉の影響だけではない可能性があります。
アレルギーとは、その症状自体が体内の「慢性炎症」です。特に鼻や気管支では、毎日のように小さな火事が起きているのと同じ状態が続いています。そして、炎症を10年、20年と放置し続けると、免疫システムが乱れ、将来的により大きな病気につながる恐れがあるのです。
冬のアレルギーを引き起こす要因は、大きく分けて二つ。一つ目は、すでに飛散し始めている「早期の花粉」。そして二つ目は、寒さのため窓を閉め切ることで蓄積する「密閉された室内のハウスダスト」です。それぞれの原因に合わせた対策をすることが、冬のアレルギーを防ぐための大切なポイントといえます。
花粉アレルギーは「マスク+帰宅後の花粉除去ルーティン+免疫力の強化」、ハウスダストアレルギーは「ふとん乾燥機(死滅)+ふとんクリーナー(除去)」で症状を抑えられます。そして治療は「市販薬での症状緩和→医療機関での免疫療法」という流れで進めるのが基本です。
本記事では、これら二つの「外の敵」と「内の敵」をどのように防ぎ、取り除き、治療していくのか、その全体像を分かりやすく解説します。
外の敵|冬の花粉アレルギー(花粉症)

私たちを苦しめる「外の敵」が花粉です。日本人の約40%が悩まされている、国民病ともいえる「花粉症」がその代表例といえます。多くの方は「花粉は3月から飛び始める」と考えがちですが、花粉症の「主犯」であるスギ花粉は1月中旬からすでに飛散を開始しています。そして3月にピークを迎え、4月にはヒノキ花粉がその役割を引き継ぎます。
花粉が特に「冬は危険」とされるのには理由があります。それは、寒さのため換気がほとんど行われず、暖房によって室内の空気が循環し続けるためです。外出時に衣類へ付着した花粉が室内に持ち込まれると、逃げ場がないまま密閉空間に蓄積し、屋外の10倍以上に濃縮されることもあります。いわば室内が「花粉スチーム」のような状態になるわけです。
また、症状も特徴的です。第一に、我慢できないほど連続したくしゃみが出ます。第二に、透明でサラサラとした鼻水が止まらなくなります。第三に、目が強くかゆくなり、喉の奥にも違和感が生じます。症状が進むと、頭痛や慢性的な疲労感、集中力の低下を引き起こすこともあります。中には「就寝中に鼻水で溺れそうになった」という人もいるほどで、ここまで悪化すると日常生活にも大きな影響が出かねません。
花粉予防|4段階の鉄壁防御

「外の敵」を防ぐために有効な予防ルーティンとして、次の4つが挙げられます。
外出時の「鉄壁防御」
外出する際は、花粉を体に入れないことが最大のポイントです。
中でも重要なのは「マスク」。普通のマスクでは繊維の隙間から花粉が侵入してしまうため、微粒子を防ぐ高性能な「N95マスク」や、薬局で売っている「PM2.5対応マスク」がおすすめです。これらのマスクは花粉の粒子サイズまでしっかりブロックしてくれます。
また、目の防御も大切です。ゴーグルは日常生活で使うには大げさすぎますが、かといって普通のメガネでは上下の隙間から花粉が入ってきてしまいます。そこでおすすめなのが「花粉症メガネ」の着用です。見た目は普通のメガネのようですが、目の周りの隙間を塞ぐ透明な「ガード」が付いており、花粉の侵入を90%以上カットしてくれます。花粉シーズンになると薬局や眼鏡店で気軽に購入できます。
さらに、花粉の時期はウールやフリースよりも、ナイロンやポリエステルといった表面がツルツルした素材のアウターを選ぶと良いでしょう。これらの素材は花粉が付着しにくく、簡単に払い落とせるというメリットがあります。
帰宅後の「除去ルーティン」
外から持ち込んだ花粉を家の中に広げないためには、帰宅後の除去作業も大切です。
しかし、アウターに花粉が付着しているとわかっていても、毎日洗濯するのは現実的ではありません。そこで、日常的に実践しやすい効果的な方法をご紹介します。
まずは、玄関のドアを開ける前に、家の外でアウターや帽子、カバンをしっかりと払い、付着した花粉を取り除きます。
次に、玄関に入ったら、リビングへ向かう前に、アウターに残った花粉をしっかり除去しましょう。ここで役に立つのが「粘着ローラー」、いわゆるコロコロです。衣類用のローラーを丁寧に転がすことで、生地を傷めることなく花粉を取り除けます。
さらに、床に落ちた花粉も早めに除去することが大切です。小型のハンディクリーナーを玄関に常備しておくとすぐに使えて便利です。
アウターの保管方法
花粉を除去した後であっても、アウターを寝室やリビングに持ち込むのはできるだけ避けてください。玄関に専用ハンガーを設置し、衣類カバーをかけて保管する方法がおすすめです。
また、帰宅後はできるだけ早くシャワーを浴びて髪を洗いましょう。体や髪に付着した花粉を洗い流すだけで、アレルゲンの約90%を除去できます。
さらに、薬局などで市販されている薬を使い、鼻洗浄(鼻うがい)を行うことで、より高い効果が期待できます。
体のバランスを整える「インナーケア」
外部からの侵入を徹底的に防いでもアレルギー症状が現れる場合は「インナーケア」が必要です。
アレルギーの本質は、免疫が過剰に反応してしまうことにあります。つまり、外からの刺激に敏感になりすぎないよう、体内のバランスを整えることが何より重要です。
免疫機能を健やかに保つためには、ヨーグルトや味噌といった発酵食品に加え、食物繊維やビタミンDなどを意識的に摂取することが効果的とされています。
内の敵|冬のハウスダスト(ダニ)

さて、二つ目の敵は「内の敵」であるハウスダスト、つまりダニです。
「冬は乾燥しているからダニは死ぬのでは?」と思う方も多いかもしれませんが、その考えは半分正しく、半分は誤解です。これこそが「冬のハウスダストアレルギー」を複雑にしている要因といえます。
寒さのため窓を閉め切り、暖房をつけ続けると、室内の湿度は30%以下まで低下します。この環境では、たしかにダニは死に始めます。
しかし、問題となるのはそのあとです。ダニの死骸やフンには「Der p1」や「Der f1」と呼ばれる強いアレルゲンが含まれており、乾燥した空気の中細かく砕け、微細なチリとなって空気中に漂います。そして、布団を叩いたり、ソファに座ったり、カーペットの上を歩くたびに、舞い上がったアレルゲンを吸い込んでしまうのです。ハウスダストアレルギーの症状は花粉症と似ていますが、特に朝起きたときにくしゃみや鼻づまりがひどい場合は、就寝中にダニ由来のアレルゲンを吸い込み続けていた可能性が高いと考えられます。
ダニ対策|乾燥機&クリーナーによる「2ステップ・ソリューション」
布団のダニ対策は、シーツの洗濯や天日干しだけでは不十分です。アレルゲンを確実に取り除くためには、以下にご紹介する、科学的根拠に基づいた2ステップのアプローチが必要です。
ステップ1|死滅させる
ハイパワー×大風量 ふとん乾燥機 MONAMI PRO
まずは、高温の温風でダニを死滅させることが重要です。
ダニは熱に弱く、約50℃以上の環境で20~30分ほど加熱すれば、ほとんどが死滅するといわれています。ふとん乾燥機を使用すれば、厚手の布団やマットレスの内部までしっかりと温めることができ、ダニを99.9%まで死滅させることが可能です。
ステップ2|除去する
コードレス UVふとんクリーナー RS5
ハウスダストアレルギーで本当に問題になるのは、ダニを死滅させた「そのあと」です。ダニの死骸やフンこそが強力なアレルゲンであり、放置するとアレルギー症状はさらに悪化してしまいます。
ここで欠かせないのがクリーナー(掃除機)の存在です。ダニの死骸をしっかり除去することで、ハウスダストの発生を抑えることができます。一般的な掃除機でも対応できますが、布団に使用する場合は、布団専用のものを選ぶことをおすすめします。UV(紫外線)ランプによる除菌機能を備えたタイプや、布団を叩いて内部のハウスダストを浮かせる構造のものを使うと、より効果的にアレルゲンを取り除くことができます。
乾燥機とクリーナーによる2つのステップを実践することで、真冬でも天日干ししたかのような、理想的な布団環境を保つことが可能です。特に冬場は乾燥によってダニの死骸が舞いやすくなるため、この2ステップ・ソリューションを毎日行うことは、有効なアレルギー対策といえるでしょう。
治療|2段階で進めるアレルギー対策の最終ステップ

予防や対策を行っても症状が治まらない場合は、治療に進む必要があります。
治療は2つの段階に分かれており、花粉アレルギーでもハウスダストアレルギーでも基本的な流れは同じです。
ステップ1|市販薬による症状緩和
症状が軽い場合は、まず市販薬での対処を検討します。
抗ヒスタミン剤を選ぶ際は、眠気が出にくいタイプを選ぶとよいでしょう。
目のかゆみが強いときは、点眼薬を使うことで症状の緩和が期待できます。
鼻づまりがひどいときは、処方箋なしで購入できるステロイド鼻スプレーがおすすめです。
これらの方法は、急な炎症を一時的に抑える「症状緩和」のアプローチにあたります。
ステップ2|病院の処方薬や免疫療法による積極治療
市販薬で症状をコントロールできない場合は、医療機関を受診しましょう。眠気の副作用が少ない専門薬や、より効果の高い鼻スプレーを処方してもらう必要があります。
さらに、根本的な治療、つまり完治を目指すのであれば、「舌下免疫療法」の検討をおすすめします。この治療は、スギ花粉またはダニのエキスを毎日少量ずつ舌の下に投与し、アレルゲンに対して体が過敏に反応しないように慣らしていく方法です。3~5年ほど継続することで、完治率は約70%に達するとされています。ただし、舌下免疫療法は1月から5月の花粉シーズン中には開始できません。花粉が飛んでいない6月から12月の間に治療を始める必要があります。そのため、早めに医療機関へ相談することが大切です。
まとめ
冬のアレルギーは、原因を正しく理解することで効果的に対策できます。
まず、「外の敵」である花粉への対策。外出時は、花粉症メガネとN95マスク、またはPM2.5対応マスクでしっかり防御します。帰宅後は、屋外で花粉を払い落とし、玄関でコロコロを使って衣類に残った花粉を取り除きます。アウターは室内に持ち込まず、玄関などの専用スペースで保管します。
さらに、すぐにシャワーを浴びて体や髪に付着した花粉を洗い流し、免疫力を支える食品やサプリメントで体調を整えましょう。次に、「内の敵」であるハウスダスト、つまりはダニへの対策。布団乾燥機の高温の温風でダニを死滅させ、布団クリーナーを使って死骸やフンを徹底的に除去します。この2ステップにより、冬でも清潔な布団環境を維持できます。
そして最後が「治療」。症状が軽い場合は市販薬で症状の緩和を行い、根本的な改善を目指すなら医療機関での免疫療法を検討してください。アレルギー対策は、できれば1月の寒い季節から、早めに取り組むことが大切です。多くの方が、くしゃみや鼻づまりを「花粉の時期は仕方ない」と放置してしまいがちですが、これは非常に危険な考え方といえます。
冒頭でも述べたとおり、アレルギーとは、症状そのものが体内で起きている「慢性炎症」です。この炎症を長期間放置すると、体の免疫システムが乱れ、将来的に深刻な病気を引き起こす可能性があります。今回ご紹介した対策は、単にくしゃみを抑えるための対症療法ではなく、不要な炎症——つまり「小さな火事」の発生を防ぐための習慣です。これは、老化を緩やかにする「スローエイジング」を実現するうえで、最も確実で重要な第一歩といえます。
アレルギーを克服することは、他の人より10年長く、健やかに若々しく生きるための健康管理法であることを、ぜひ覚えておいてください。
この先生が監修しました。

Dr. マイケル・リー
アメリカ・デューク大学2002年卒業。
大学卒業後、大学病院の医師として様々なライフスタイルの患者の治療に従事。
その後、治療現場の経験を生かし、アメリカの大手製薬メーカーJohnson & Johnsonで
医療製品開発の実務経験を積み、2012年にレイコップ株式会社を設立。
医師として、また開発者として、
「人々の暮らしをより健康で豊かに(Better Quality of Life)」という信念に基づき、
「暮らしの中の予防医療」を目指し、日々の生活習慣に溶け込むような製品の開発に取り組んでいる。






