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【ドクターズコラム】その症状は花粉症皮膚炎では?

花粉症皮膚炎をご存知ですか。

3月になりました。花粉症の本格シーズン到来です。ご存知の通り、典型的な花粉症は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや、眼のかゆみ、充血といった鼻炎と結膜炎が主な症状で、日本の多くの地域では、スギ花粉に対するアレルギー疾患と考えられています。

解剖学的に考えると、鼻や眼(結膜)は、粘膜上皮という組織で覆われています。粘膜は常に湿っており(胃カメラの映像や口の中をご想像ください)、“油のふた”である角層はありません。そのために、空気中をさまよっている花粉(アレルゲン)を捉えやすいと考えられます。言い換えれば“濡れ手に粟”のような状態です。もっとも、得られるのは辛い鼻水、鼻づまり、眼の痒みですが。

実は、この時期の皮膚科外来には、花粉症皮膚炎とも呼ばれる“かぶれ”に悩む患者さんも来院されます。

その痒みやかぶれは花粉症が原因かも。

実は、空気中をさまようアレルゲンに対するかぶれは、いろいろな原因で生じることが知られています。ある研究によると、20%以上はアトピー性皮膚炎を合併しており、70%近くは40歳以上の女性の顔面に生じるとされています。また、アレルゲンとしては、約40%を占める化粧品や洗剤等の添加物に続いて、植物由来の物質が15%にのぼるとされ1*、これらの物質は、直接触らなくても、かぶれを起こしうるわけです。

アトピー性皮膚炎のような敏感肌は理解できるとしても、健康な皮膚になぜ新たに皮膚炎が起こるのでしょうか?  さらに、スギ花粉は、ウルシやキクのようなアレルゲンとしての強い性質はなく、先の植物由来の物質には含まれていません。それなのになぜかぶれるのでしょうか??これに対しては、はっきりとした結論はまだないようです。でも、一つ明らかなのは、ただれた皮膚は、さらにかぶれやアレルギーを起こしやすいということです。健全な皮膚は、異物が付着していてもそう簡単には炎症反応を起こさないのです。むやみに皮膚がかぶれていたら、体にとってはむしろ害になります。これは、最近の食物アレルギーに関する研究からも明らかにされています2*3*ただれた皮膚が出す、“攻撃を受けた”という信号が、その後のかぶれやアレルギーの一因であるという考えです。

花粉症皮膚炎のメカニズム

そこで、私が考えた、アトピー性皮膚炎のない、成人女性に生じる花粉症皮膚炎のメカニズムは以下の通りです。

1.かゆみのために目をこする(皮膚を攻撃する)ので、皮膚がただれる。

2.目薬や、香粧品4*の成分に対するかぶれを起こしやすくなる。

3.さらなるかゆみのために目をこする。

ご理解いただけたかと思いますが、運が悪いと延々と1.から3.の悪循環を繰り返すことになります。

そこに、ハウスダストが付着して皮膚バリアを障害したり、鼻づまりによる睡眠不足からバリア修復能が低下5*したりしたら、さらなる事態の悪化は避けられません。

いつも以上にこまめにクリーニングを。

ただでさえつらい花粉症の季節に、肌荒れは追い討ちをかけるようですが、適切な診断と治療を受ければ、上手に乗り切ることができるはずです。鼻と目ばかりでなく、皮膚にトラブルが生じたら、早めに皮膚科を受診して頂ければと思います。もちろん、ハウスダストの除去や良好な睡眠環境維持もお忘れなく。

*1 Breuer et al. Epidemiological data on airborne contact dermatitis – results of the IVDK. Contact Dermatitis. 2015; 73: 239-47

*2 Lack et al. Factors associated with the development of peanut allergy in childhood. N Engl J Med. 2003; 348: 977-85.

*3 Horimukai et al. Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol. 2014;134: 824-830

*4香りの製品と化粧品全般を指す造語

*5コラム第1回 “カサカサ肌と睡眠の深い関係”参照

筑波大学皮膚科 石塚洋典先生
皮膚科専門医。医学博士
診療のかたわら、皮膚のバリア異常が関与する病気や、角化の基礎的な研究を続けている。

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